床矯正

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床矯正とは

床矯正とは、あごの大きさを整えたり、歯列の幅を広げたりすることによって、歯が並ぶスペースを確保し、正常な歯の萌出をガイドする治療法です。混合歯列期の、主に小学校低~中学年までの子どもを対象としますが、症状によっては4歳くらいから小学校高学年まで対応します。

床矯正イメージ

当院では、床矯正は永久歯列期で良い歯並びを作るための「土台」となる治療法と考えています。細かい歯の移動や歯の向きの調整はできないため、床矯正だけでは歯列矯正が完了せず、永久歯萌出後にⅡ期治療を行う場合もあります。

しかし、矯正医が正しい成長予測と適切な量の歯列の拡大を行うことで、お子さんのあごの大きさと永久歯のサイズのバランスが上手くとれた場合には、Ⅱ期治療で抜歯を伴う治療が回避できたり、Ⅱ期治療そのものをしないで済んだりといった、将来の選択肢が増える可能性のある治療法でもあるのです。

床矯正装置のしくみ

床矯正装置は、ご本人または保護者の方が床部(プレート)の横幅を少しずつ拡大操作しながら使用します。プレートの中心に埋め込まれた拡大ネジの穴に専用キーを差し込んで、決められた通りの手順でネジを回転させ、その状態で装着すると、歯列の横幅が押し広げられて固定します。これを繰り返していくことで歯列が広がり、歯が並ぶスペースが確保されます。

さまざまな床矯正装置

さまざまな床矯正装置

専用ネジを回して横幅を広げます

専用ネジを回して横幅を広げます

床矯正のメリットデメリットは?

床矯正のメリット・デメリットは? 床矯正のメリット・デメリットは?

安易な床矯正には気をつけて

床矯正は、そのお子さんにとってはメリットの方が大きいと診断した場合にお勧めするべき治療法です。

中には、床矯正であごを広げて歯を並べることのみをゴールに考えている歯科医院もあるようです。そのため、あごを少し広げたくらいでは歯の大きさとのバランスが取れず、成長期が終わった段階で歯並びは良いけれど口元が突出してしまったり、無理に広げ過ぎて歯根が露出してしまった例もあります。

また、「子どものうちに床矯正をすれば、短期間で費用も安く済む」というような広告を見かけることがありますが、その情報は間違っています。床矯正だけでは細かい歯の位置を整えたり、大きく移動することはできないため、実際、永久歯列期のⅡ期治療が必要になるケースは多いというのが現状です。
ただし、どのようなⅡ期治療になるかということは重要ポイントです。日本人の多くは、歯を並べるスペースが狭く、調和のとれた口元にするためには抜歯が必要になる方が多いのですが、子どもの頃に床矯正を行ったことで抜歯を回避できる可能性もあります。

歯科矯正とは、歯並びを整えることはもちろん、調和のとれた美しい口元に配慮した治療を行うことが重要です。当院では、矯正治療を専門とする歯科医師が、精密検査でしっかり見極めた上でお勧めするようにしています。

床矯正による矯正治療例
 ― 叢生(歯のでこぼこ)―

小学4年生(10歳)の女の子です。顎が狭く、前歯部に叢生(でこぼこ)が認められます。このままでは永久歯列での治療は抜歯が必要になってしまいますが、口元は引き締まっており、綺麗なプロファイルですので、この時期に顎の大きさを整えることにより、将来抜歯をせずに歯を並べられる可能性も高く、そのような口内環境にしてあげることを目的に拡大装置を使用しました。

拡大装置の使用期間は11か月。凸型の歯列が綺麗なアーチになり、前歯も自然にばらけました。しかし、下顎前歯は完全に並びきらなかったので、3か月だけ下顎にのみワイヤーの矯正装置を装着し、綺麗に整えました。

結果的に、横から萌出してきた歯も綺麗に並び、永久歯列での矯正治療は必要なくなり、最小限の期間で最大限の効果が得られるという理想的な結果となりました。

矯正治療前後の写真

矯正治療前

矯正治療前
右矢印

矯正治療後

矯正治療後

床矯正装置での治療中の様子

床矯正装置での治療中の様子1
床矯正装置での治療中の様子2

このような取り外しできる装置をお家にいる時だけつけていただきます。真ん中のネジを回して、横幅を少しずつ広げていきます。あごが広がるからといって、顔が大きくなるといった心配はありません。

ワイヤーの矯正装置で最終調整(3か月間)

矯正治療前

矯正治療前

矯正治療後

矯正治療後

治療中の様子

治療中の様子

下顎前歯に3か月だけワイヤーの矯正装置を装着し、綺麗に整えました。ワイヤーの装置を加えても矯正装置代は変わりませんので、ご安心ください。

治療のゴール=大人になった段階で
きれいな歯並びであること

水戸歯科クリニック矯正歯科センターでは、矯正医としての知識・技術・経験を生かして、個々のお子さんにとって適切な治療開始時期や治療方法を考えて対応しています。混合歯列期の矯正治療では、成長予測をしっかり行い、最終的な永久歯の歯並びを見据えて考える必要があります。

お口の中は千差万別で個人差がありますので、詳しくは精密な検査が必要になります。
お子さんの歯並びが気になるようでしたら、一度ご相談ください。

■主訴

前歯にでこぼこがあり、歯並びが気になる

■診断名

叢生

■年齢

10歳

■治療に用いた主な装置

床矯正装置、マルチブラケット装置

■抜歯部位

なし

■治療期間及び回数

11か月/月に1回程度の通院(保定期間は2年程度で3~6か月に1回の通院)

■治療費概算(自費)

約280,000(税込) ※矯正装置代 220,000円 (検査診断料55,000円 / 調整料6,050円)

■リスク・副作用

  • 個人差はありますが、装置を付けた当初は異物感や不快感、発音に違和感がある場合があります。
  • 装置を正しく使用し、使用時間を守らないと、歯並びが改善できない場合があります。
  • 口腔清掃後に装着しないと、むし歯リスクが高まります。
  • 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと、後戻りが生じる可能性が高くなります。

※掲載症例の治療費は治療当時の費用です。現在の治療費用は料金ページをご確認ください。